8月

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風が気持ちいいくらいにゴーゴーと吹いているがそれは煙草を吸いにベランダに出るときしか聞こえない。それ以外の時間はエアコンをちゃんと効かせるために窓を閉めているためであり、今日は工事が休みのため家でずっとパソコンに向かって開店に向けたあれこれをやっていたのでほぼ100%の時間を仕事というか開店に向けたあれこれに費やしていた。真面目だなあとも思ったけれど、そんなものなのかもしれない。でもやっぱり真面目ということで自分を称えておきたい。

 

昨日の晩、家に帰ってきてわかったということではないにしても両親はお盆を田舎で過ごすためにいなくなっていた。一週間ほど一人で暮らすことになったので昨晩はトマトソースのパスタとモロヘイヤとモッツァレラチーズのサラダをこしらえて食べて、今朝はご飯と納豆を食べた。スペイン風のピザらしいコカというやつの生地を再び作って、今度は上手というか妥当に作ったので夕方、腹が減ったところでそれにトマトソースとチーズを乗っけて焼いて食った。その直後におとといの晩に焼いたチーズケーキを食らった。バニラオイルを少し入れてみたのが奏功したのか、リッチでラグジュアリーな味わいだった。ラグジュアリーの意味をあまりわかっていないで使っているが、おそらく誤用だろう。

そのあともずっとパソコンに向かってテキストを打ち続けていたので、夜が更けて腹が減ってもなかなかご飯を食べようという気が起きず、結局11時ぐらいになってからやっと重い腰をあげて、トマトソースを掛けたオムライスを作って昨晩作ったサラダと一緒に食べた。ベーコンと椎茸、ケチャップ、バルサミコ酢でご飯を炒めた。

つまりここ4食中3食にトマトソースを使っており、トマト缶についてはつい先日初めてホールトマトとカットトマトで使っているトマトが違う、ホールトマトは長細いやつを使っていて甘みが強い、みたいなことを知った。それはクックパッドの掲示板みたいなところに書かれていたことだったし、クックパッドの存在についてはなんというか100%肯定したいというか、私が否定したところでなんの問題もないだろうけれども100%肯定したいと私は思っているつまり好きだ。

 

私はできるだけ物事を肯定しながら生きたいと前々から思ってはいるけれどもちょっと気を緩ませたら簡単にディスの方向に気分が流れるからその批判的な傾向をどうにか抑えるというか批判的であることも必要だとは思うけれども、それでも気持よくあるためにできるかぎり肯定的でありたい。

今日読んだホットエントリーに入っていた記事で、私はけっこう感動しながら読んだのだがブコメを見ていると「釣り」みたいなものが多く、たしかにそれは釣りかもしれない、しかし釣りだとしたらなんだというのだろう、と私は思った。釣りだったらそこで得る感動は減じるのだろうか。私はそうは思わないし、そんなことを言ってしまったらフィクションなど一つも楽しめない。フィクションであろうとリアルであろうと、文字が書かれて、それが読まれて、物語が私のうちに生起したら、そのあとの問題は響くかどうかだけだ。響かないリアルならば響くフィクションの方がよほど大事なような気がする。釣りと断じて何かせいせいした顔をしている人たちはフィクションの力を、想像力を信用していないのではないか。創造力ではなくて想像力だ。というわけでまた簡単に批判的になった。

 

東浩紀の『弱いつながり』を先日読んだ。あずまひろきで変換したら最初に出たのが東大生だったのだけどこれはいったいなんなのだろうか。それはともかく、本書が言わんとしているのは旅に出よう、否応ない変化の中に身を投じて異なる検索ワードを手に入れよう、世界を拡張させよう、ということだったと思うのだけれども、物理的に異なる環境に身を置くことはたしかに大事というか豊かだと、私も、それは旅ではないけれども、新しい環境で今まで経験したことのない段階を暮らしているとそれは本当に思う。施工管理屋さんを始め、大工さんとか設備屋さんとか、今まで関わったことのない人たちに触れていると、それはとても面白くて豊かだと感じている。私は今着々と新しい検索ワードの機会を手にしながら暮らしていると思う。だからここで書かれた旅は旅でなきゃいけないわけではなくて新しい環境や新しい他の何かでもいいわけで、その中でもっとも手っ取り早く変化がビビッドなのが旅行ということなのだろうと思う。そのためマイルも溜まっているし、どこかで旅行でもしようかな、という気に簡単になった。いとも簡単に。しないだろうけど。

 

そういうわけで『弱いつながり』を読み、『ドン・キホーテ』は後編(4冊目)に入り、それらは新宿の紀伊國屋で買ったのだけど、ホセ・ドノソの新刊が出たみたいだけどラテンアメリカ文学の調子はどうかなとか思いながら向かった棚にエレナ・ポニアトウスカの『トラテロルコの夜』というやつが置かれておりトラテロルコもポニアトウスカもきっと覚えられないし初めて聞いた本だったけれどもそれも買った。藤原書店というところが版元。

トラテロルコは1968年の10月、デモの学生たちを軍隊が武力で鎮圧して数百人とかを虐殺した事件の舞台となった広場の名前で、たぶんメキシコの歴史本を読んだときに知って、それもあって興味が湧いたのだろうし、それから何よりも、エレナ・ポニアトウスカの名前だ(それにしてもよほど慣れない名前らしく、「ぽにあとうすか」と打ち切る前に2回も変換キーを押して台無しにしてしまった)。いくらか前に読んだガルシア=マルケスとバルガス=リョサの対談本で、バルガス=リョサへのインタビュアーを務めていたのがポニアトウスカで、そのインタビューが(大体において下世話な意味で )すごい面白かったので、「え、あの人の本ですか!じゃあちょっと読んでみようかな!」となったのだと思う。昨日の夜読み始めたら15ページくらいで寝てしまった。疲れていたためだと思いたい。

 

今日はベランダ以外で2度外に出た。最初は夕食後に煙草を買いにコンビニへ。次は溜まったビールの空き缶を捨てに外の自販機のところへ。

肩がやたら凝った。ビール飲んで寝る。


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