オペラは踊る(サム・ウッド、1935年、アメリカ)
2012年8月26日
マルクス兄弟はこれまでそれこそダックスープだっけ、『吾輩はカモである』しか見たことがなかったのだけど、以前にレコード屋で500円DVDで売っていたので買っていて、それをふいに彼女が流し始めたので見た。すごく面白かった。映画はやっぱりこんなのがいいなと。すべてのシーンが見所みたいな、こんなのがいいなと。
オペラの男女の別れの歌い合いとか、船室にギュウギュウに人が入っていくあの滑稽さとか、それから船外で綱を握りしめてあっちこっちいかされるハーポ、船上でゲリラ的に沸き起こる歌唱、ダンス、演奏、演奏時のハーポのあの真剣な眼差し!人々がミゾグチ、ミゾグチ、ミゾグチあるいはハマグチ、ハマグチ、ハマグチと叫ぶならば私は少なくともこの映画を見ているあいだはハーポ、ハーポ、ハーポと3回叫びたいところなのだけどクライマックスの地上数メートルで舞台を、画面をぶんぶんと横切り続けるハーポの躍動の素晴らしさといったらなかった。
無邪気に楽しめる映画というのが一番いいなと。ただ、マルクス兄弟というのがどういう存在なのか全然知らないのでそれが特徴の一つなのかもしれずこんなことを指摘するのは無粋以外何ものでもないのかもしれないけれどマルクス兄弟には悪意を感じるというか、ちょっと普通にそれ迷惑でしょ、そういういたずらは自制しなさいよ、度を過ぎてますよ、という常識人的な困惑を私は覚えてしまった。喜劇には違いないのだけろうけれど、彼らの活躍によって迷惑を被っている人たちがいるという事実についてはどう捉えたらいいのか。周りにいたら超迷惑だなと思いました。