2012年ベスト、音楽
2013年1月6日
- Taylor Deupree : Faint (12k)
- 柴田聡子 : しばたさとこ島 (浅草橋天才算数塾)
- Peter Broderick : How They Are (Hush records)
- Grouper : A|A (Kranky)
- Chihei Hatakeyama : Norma (Small Fragments)
- Vladislav Delay : Vantaa (Raster-Noton)
- Juan Stewart : Los Dias (Estamos Felices)
- Moe and ghosts : 幽霊たち (UNKNOWNMIX / HEADZ)
- Nipps : QB Files Vol.2 (Southpaw Chop)
- Pete Swanson : Man With Potential (Type)
2012年リリースのもの、というような縛りを掛けたら一気に選択肢がなくなりそうなので、2012年に出会った音楽、というところでチョイス、と思って挙げてみたら存外2012年のものが多かった。順番は好きな順でも出会った時期の順でもない。ジャケットを並べたら鮮やかかなと思ったけれどそうでもなかった。
- Taylor Deupree : Faint (12k)
もはやビートが鳴った瞬間に耳が拒否反応ぐらいの感覚になってしまったわけではないけれど、今年もドローンやアンビエントはよく聞いていた。その中でもテイラー・デュプリーのこれは特にたまらなかったです。雨音と粗い光の粒子が揺らぎながら空間中を漂うようでこのうえない気持ちよさでした。→Soundcloud
- 柴田聡子 : しばたさとこ島 (浅草橋天才算数塾)
自分たちの店でライブをやることになってその存在を知り、聞いたのだけど、それにしてもいったい何度聞いたことだろうか。私がメロディや、それを歌う人間の声にまだこんなに感動するとは思っていなかった。素晴らしい歌声およびソングライティングと素晴らしいアレンジの奇跡的な出会い。→Youtube
- Peter Broderick : How They Are (Hush records)
2012年リリースの『http://www.itstartshear.com』はまさかのラップで「えー…」となってほとんど聞かなかったのだけど、この作品はよく聞いていた。ピアノと歌のシンプルな構成がいい。ピーター・ブロデリックの歌声がじっくりとじんわりと耳に染みこんでくる。彼はやっぱりラップとかはいいのでこんな感じが嬉しいなあと。ニルス・フラームとユニットOliverayの『Wonders』もとてもよかった。→Youtube
- Grouper : A|A (Kranky)
以前から『Dragging A Dead Deer Up A Hill』やInca Oraとの『Split』は好きで聞いていて、今年はまさかの岡山でライブがあり見に行った。神経質そうな美人で、風邪気味の様子だった。何台ものテープレコーダーとギターを使って不機嫌そうに演奏していた。幽玄という言葉はこういう音のためにあるのだろうという、そういった演奏だった。→Youtube
- Chihei Hatakeyama : Norma (Small Fragments)
これも好んで聞いたドローン。人を威圧するタイプのドローンと包み込むタイプのどローンがあるならばこれは間違いなく後者で、夏の夕刻、空は少しずつ色を濃くしていくそういう頃合い、開け放たれた外から聞こえてくる音と溶け合いながら流れていて、それはたぶん、すごい、ものすごいいい情景だった。→Youtube
- Juan Stewart : Los Dias (Estamos Felices)
新作の『Juan Stewart』は露骨にエレクトロニカテイストで「うーん」という感じだったのだけど、ピアノアルバムのこちらはやたらめったら聞いていた。ループされるピアノのフレーズの上にチラチラと、電子音がほんの飾り程度に重ねられ、散りばめられるその抑制がとても耳に心地よかった。→Youtube
- Vladislav Delay : Vantaa (Raster-Noton)
一方でうるさい音を耳の中いっぱいに受け止めたくなることも多々あるわけで、というか一人の時間なんてほとんどがそういう気分なわけで、周囲のすべてを遮断したくてたまらないわけで、そういうときにこれを聞いていた。どこまでも重いビートがずぶずぶと体の底に下りていき、内側から体を溶かしに掛かるようだった。Vladislav Delay Quartetのアルバムもうるさくてたまらなかった。→Youtube
- Moe and ghosts : 幽霊たち (UNKNOWNMIX / HEADZ)
この人たちの登場には度肝を抜かれた。たいへん早口なのでだいたい聞き取れないままに聞いていて、自分の口角が意味もなく上がり続けていることにしばらくすると気がつく。高速で高音の声が乱高下しながら耳の中を好き勝手飛び回り続ける。2012年もっとも興奮と高揚を覚えた音楽。→Youtube
- Nipps : QB Files Vol.2 (Southpaw Chop)
Nippsという人が誰なのかも知らず渋谷ディスクユニオンに推されるままに買って、何も知らないまま気に入ってよく聞いていた。「NY・クイーンズブリッジ(QB)出身のMCをフューチャーした、NIPPSのミックス作品」とのことで、「ドラマチックかつドス黒く渦巻く楽曲はどれもヤバ」かった。
-Pete Swanson : Man With Potential (Type)
ドローン/ノイズ特集だった『ele-king』で知って買った。ギッチギチでバッキバキなくせにどこまでもポップというか、明るい顔で金属バットを振り落としてくるようなナイスガイ。暴力は音楽に代行してもらう、という2012年のスローガンに見合った一枚だった。→Youtube
他にはMokira『Persona』、いろのみ『Sketch』、Budamunk『Blunted Monkey Fist』、SIMI LAB『Page 1 : ANATOMY OF INSANE』、Dabrye『Two/Three』、Les Mentettes『Songs for an Imaginary Film』とかが好ましかった。
こうやって列挙していくと、流しのCD屋さんであるところのmoderado musicから買ったものがかなり多いことに改めて気がつく。2012年もお世話になりました。
毎年毎年思いながらもなかなかそうならないことだけど、今年はもっともっとヒップホップを聞きたい。