シンドラーのリスト(スティーブン・スピルバーグ、1993年、アメリカ)

cinema

ゲットーや収容所に押し込められるユダヤ人、その人たちを殺すために動員される兵士たち、死体の山となった人々、シンドラーに助けられ工場で働く人々、終戦の夜にシンドラーの演説に聞き入るやはり工場の人々、屋外で死体の山のようになって眠る人々、その翌朝に解放の宣言を聞き蘇生したようにゆっくりと起き上がる人々。ヤヌス・カミンスキーのカメラは名のないいくつもの群衆を、そして群衆の運動を、とても見事に画面に定着させている。映画のカメラは一人のスターの顔を大写しで捉えるものではなく、複数の人間を一気にそこで生きさせるためにあるのではないかなどという、べつだん真剣に思ってもいないような考えに取り憑かれたくなる。

 

殺される人の姿がとてもいい。ナチスの兵士が気安く抜いた銃で頭を撃たれるときの体の弾かれ方に緊張する。いま死にゆく人を見ながら、この俳優はこれからどんなふうに死を演じるのだろうかと、不謹慎な好奇心に駆られながら画面を見続けていた。

 

『マンディンゴ』に続いて数日のあいだに立て続けに隷属する人々を映画で見たせいか、ことあるごとにアイムノットユアスレイブと、むやみな憤りを覚えながら暮らした。


« »